Kindleで無料配布されていたクラシック書籍のアーカイブ。
1930年ごろのドライバーガイドである。
何しろ80年も前の書籍なので、記述が古いのは当たり前だが、当時の風俗をうかがい知ることのできる大変興味深い内容が多く含まれている。
ドライブコース案内というタイトルの通り、主な内容はトウキョウを起点として各所へのドライブガイドであるが、特に面白いのは付録となっている「ドライブ事典」である。なかでも「ドライブの知識」と銘打たれた章は、現代のドライバーが読んでおいても損のない内容が含まれている。
曰く、
「どの車にも経済標準速度というものが有り、速度を出しすぎても遅すぎても不経済となりますが、まず小型ですと30キロ、大型50キロ程度を経済速度と言えましょう」
「極力エンジンの空回転を避けねばならぬことは当然ですが、それかといって少時の停止にエンジンを止めることは不経済となり時間を冗長します」
「蓋し、ドライブのあとには確かに疲労を感じるがこれはなぜだろうか。これは精神的疲労が肉体に感じるのである」
などなど読んでいて飽きがこない。この他にも季節に応じたドライブのあり方や緊急時の対応策などが細かに書かれており、日ごろ当たり前と思っている運転作法についても考えなおすことのできる一冊である。