ファミコンは時代の象徴だったが、現代のファミ通読者は、ファミ通のファミがファミコンの略であることを知らないそうだ。野球中継とファミコンとで、テレビの占有権を家族で奪い合うことはもうないが、誰もがみんなスマホを手に30年前にヒットしたテレビゲームからほとんど進化していないゲームに熱中している。SFの世界だ。それもフィリップディックの。
なんども「もうダメなんだろうな、、、」と思わせながらも、不意に蘇ってくるのが桜玉吉だ。ファミ通連載の「しあわせのかたち」を読んでいた頃は、作風がほんわかしていたせいか、あまり深刻に見えなかったが、作者が歳を重ねるにつれ、彼の闇の深さを感じさせるようになった。
もとより日記漫画は、フィクションではあると言いながらも作者の実生活を反映していることは確かなので、愉快なコメディの裏側があるはずだったのだが、いつのまにかそれがブラックユーモアにすら転じているようだ。
元気でも健康でもなさそうだが、まだマンガを描いていてくれてよかった。